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「えっと、試合はしないのですか?」
俺がここに来てから、一度も試合がされていないので、休憩でも入れてるのかなとか思っていたが、何故かルフィリアさんはちょっと困った顔になった。
「そのぉ、試合をしたいのはやまやまなんですがぁ......」
「ん?」
なにか事情があって出来ないとか?
したいのはやまやまと言うことは、ギルド側に何か問題があるのだろうか?それとも戦乙女側か?
「何か有ったんですか?」
「いえ、問題は何もなくすすんだのですが......」
何故か言いにくそうに目を泳がすルフィリアさん。
生理?
「私達隊員は全員終わって、残るは隊長だけが試合をしてないのです。でも......」
「あー......ね......」
なんとなくお察し。
三星の隊長は、化物らしい。
しかも、戦乙女は今日、いきなり来たのだ。
そんな都合良くSランクもいる事はなく、騎士団の中では、模擬試合をする場合は来たり行ったからには礼儀をもって戦うことになっている。
つまりは、模擬試合をしに行ったのに戦わずに帰ると言うのは、礼儀としては成っていないということ。
ということは、隊長も戦う気マンマンなのだろう。
だがしかしだ。おそらく、副隊長まではまだギルド内の即席戦力でどうにか出来たが、隊長と戦える戦力。つまりはSランクが運悪く不在で、だからと言ってAランクの人は隊長格の化物と戦うなんて、死神に首を差し出すもんだと嫌がるだろう。
だが、こちらがギルドだからと言って向こうの流儀を蹴る訳もいかず、というよりギルドと騎士団は普通に良好な関係なので、相手の気持ちを考えると、誰か一人が隊長と試合をしないといけない。
だが、痛い目にあうのは嫌だ。
そこに来たSランクの俺。
なるほど、俺が来たときのあの歓声の意味が分かった。
「うっしゃ、帰る」
「待ちなさいよアンタ」
馬鹿女に首根っこ捕まれました。
この女いつか犯す。死にたくなったときに犯して死刑になってやる。そんな勇気ないけど。
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