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「んで、こんな顔を近付けて来てなにがしたいんだ?誘ってんのか?」
「黙んなさい。踏み潰すわよ。アンタ、勝てる見込みあるの?」
「んなの言われても、相手の実力分かんないから何とも言えないぞ」
「でもカイさんにも負けたことはないんでしょ?ならやりなさい」
「いや、カイさんは長年見てきたからな。対処法が分かっているから負けないだけだし」
まぁ、同時に対処法を知られてるから勝てないんだけどな。
「てか、なんでそんなそのスズさん?って人の戦いに気にするんだ?模擬試合って名前の交流試合なんだし、もっと気楽にするもんだろ」
「そんなの、アンタの実力を戦乙女に見せる為よ」
当たり前じゃない。と顔を離し、呆れ顔でボソッと呟く。
「言っとくけど、アンタが私の護衛になるのを一番認めてないのは、戦乙女の一部だから」
「まぁそうだろうな」
なんせ、自分達の誇りある仕事の一つを他人に任せるのだ。
しかも、不評の多い人物に。
俺の実力を知っているユフィさんとかルフィリアさんとかは反対しないだろうが、その他の俺を全然知らない人達は反対するに決まっている。
つまりは、今この場で実力を見せろと言うことか。
てか、こいつ俺が護衛になるの嫌じゃなかったのか。なんでまた俺が護衛のままでいれるようにしようとするのかね。
「はぁ……」
めんどくさいなと溜め息を一つ吐く。
まぁ、三星の一人と戦えるのだから経験としては儲けもんだろうが、なんだかやる気が……
「ソウ」
心の葛藤をしていると、目の前の少女の声。
いつもの強気の声の中に、何か威圧感がある、『上に立つもの』の声。
「命令よ。勝ちなさい」
「……」
びっくりした。
こいつ、真面目になればこんな王様に似た雰囲気出せるんだな。
てか、今マジで可愛かったぞ。
いや、こんなの思うべき場面じゃないが、可愛かったぞ。
可愛かった。
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