草食動物(仮)vs化物(確信)

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さて、詳細を話す前に俺がリーシャから聞いたスズさんの魔法について話そうと思う。 スズさん。騎士団隊長にも二つ名が贈られるらしく、彼女の場合は『閃光の戦乙女』という名だ。 彼女はその名の通り、この国で一番の速さを誇り、それはカイさんを越えるほどだとか。 そんな彼女は、俺と同じ『特殊な体質』で、いや、彼女はというよりSランクや三星レベルの人は大体が『特殊な体質』だと思う。 普通で強いのはカイさん位だと思う。まぁ、三星や他の騎士団隊長の人の魔法は知らないので、予測でしかないから断定は出来ないが。 話を戻して、そんなスズさんの特殊な魔法は二つあるらしく、一つは二つ名の通り、『閃光』という速さ特化の自身の強化の魔法だ。馬鹿女が使っていた『充電』の何個か上のランクの強化魔法だろう。 本気を出さない限りはこの魔法を主流に使うらしく、俺はスズさんは俺を舐めていると思い、この魔法を使ってくる前提で一瞬で決着を着けるつもりだった。 だが、思ったよりもこの女性は抜け目のない人だったようだ。 いや、三星にもなる人が、その程度で終わるはずもないか。 溜め息を一つ。 ついでに状況整理。 案の定、スズさんは開幕早々『閃光』を使い、予想していた速度程で俺に剣の柄で殴りかかってきた。 刺さないところを見ると、やはり手加減はしていたのだろう。 そして俺はその手加減を裏目に取るために『転移』を使い、スズさんが剣の柄を振り下ろしたと同時に真後ろに転移。 剣を持っていない方の腕を取り、そのまま体重を掛けつつ関節技を決める。 おそらくスズさんは痛みに体が無意識に動き、『閃光』で逃げようとするのを予想してスズさんの片足を足で引っ掛ける。 何か抵抗してくるかと思ったが、彼女は抵抗しないまま仰向けに地面に倒れ、俺は関節技を決めたまま彼女の上に乗った。 ここで、観戦している人達のどよめきの声。 しかし、俺はここで感じ取った。 俺の最終防壁の『ヘタレセンサー』が、明らかな危険を。 そして、俺はスズさんの首の骨を折った。
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