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「ッ!?」と声にならない小さな悲鳴。
嫌な感触を感じつつ、俺はそのまま『転移』をした。
場所はステージの端。
景色が変わり、だが続いてまた危険を感じ取り、今度は真上に『転移』。
再び景色が変わったと同時に、ステージの障壁に、ガキンッ!という金属とぶつかる男。おそらく俺を狙った剣が壁に当たったのだろう。
そのまま再び『転移』をして、ステージにすぐに着地する。今度は危険をは感じ取れないので、一旦攻撃を止めたのだろう。
そのまま振り向くと、まず床に転がった首の折れた女性。
そして、ステージの端で俺を見る、床に転がっている女性と同じ女性。
話しは聞いていたが、こう見ると気味が悪い。
「やはり、油断を誘ってましたか」
凛とした声が耳に入る。
スズさんの声だろう。口動いてたし。
てか、めっちゃいい声してるな。声だけでイケる。違った。ご飯三杯食べれる。
「しかし、速いですね。いや、速いという言葉では表せない移動ですね……。なるほど、それが噂の『転移』ですか。ホントに珍しいものを持ってますね。守護の騎士」
「なんですか守護の騎士って」
初めて言われたわそんな格好いい名前。
「あら、案外的確だと自負してるのですが?」
「てか、俺は騎士じゃねえし。というより、騎士ってのは守りの職業だと思ってるのだが?」
守りの騎士って、お腹か腹痛みたいなものじゃね?
「違いますよ?騎士というのは主に命を捧げるという心構えを持つ人ですよ。時に剣となり、時に盾ともなる覚悟とその実力を持った物こそ、騎士となりえるのです」
丁寧に説明してくれて有難いけど、なんだが聞いてて恥ずかしいのだが。
まぁいいや。そんなことより、守護の騎士とかまた恥ずかしい名前を与えてくれたってことは、あの馬鹿女を守る騎士として認めてくれたと考えてもいいのだろう。
「認めてくれるの早いっすね……」
「ん?あぁ、もちろんですよ」
女神のような笑みを浮かべ、彼女は言った。
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