草食動物(仮)vs化物(確信)

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「私は国王の騎士。 私はあの方を認め、信頼し、命を捧げ、この力を捧げる騎士です。そして、あの方が信頼しているあなたがただの親の脛かじりだとは思ってませんでした。だから、疑っていたのは、その実力ですよ。本当にあのカイ君と引き分けになるほどの力なのかを試したかっただけです」 うわぁ。これまじもんだわ。まじもんの騎士さんだわ。怖いわ。命を捧げちゃってますわ。 軽く頬を引きつらせている気がするのは、気のせいじゃないはずだ。 もしかして、三星ってみんなこんな感じ?すごい会いたくなくなったんだけど。なんかこういうの宗教染みていて嫌なんだけど。 さて、嫌悪感はさておき、要するにこの人は俺のことは認めていたのだろうけど、あのカイさんと互角の力なんてあり得なくねー?みたいに思ってたということか。 互角じゃねぇし。余裕でカイさんのが強いし。 まぁ、そんな事は思っていても現実は変わらない。 そんな事より、この人に勝つことだ。 油断を誘うのは失敗。かなり残念だが今は次の一手を考えよう。 俺は基本、後手だ。 理由は簡単で、相手に合わせて戦う方がやりやすいからだ。 別に俺が攻撃魔法は使えなく、防御魔法だけは使えると言っても、先手が打てない訳ではない。 それが出来る『転移』という機動力があるから。むしろ、防御魔法より『転移』の方が対人戦では扱いやすかったりする。 だが、この人には先手がいいだろう。 理由は一つ。 この人の魔法である。『分身』をさせる暇を与えないため。 この人のもうひとつの魔法は『分身』。自分とまったく同じスペックの存在を複数作れる魔法である。これまた、俺と同じくらい特殊な魔法だ。 やはりこのレベルになれば、やはり俺みたいな特殊な存在は珍しくないのだろう。 馬鹿女に聞いたこの人の戦闘スタイルは、複数の自分を出し、複数の自分の『閃光』による手数攻撃。 はっきり言って手に負えないレベルで厄介な相手だ。一人に対処するだけなら神経を使えば対処は出来るが、それが複数人なら話は別だ。もう帰りたいレベルで厄介な相手だわマジで。 だが、うんと言ってしまったのだ。勝つしかない。 「さてと、再開しますか」 「そうですね。私も貴方に対してどう対処するか考えてた所でしたし」 「決まってないんかい」 「だってまだ貴方の隙が分からないですもの」 「それはお互い様だ」
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