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適当な駄弁りをしている中、スズさんと目が合う。
彼女の目は話に聞くような優しい目では無く、じっとりと俺を見て、違った。間違えた。ジッと俺の目を見て、俺の意図を取ろうとしている。
目は口より正直ってか。まぁそうだろうな。
さて、どう先手を取るか急ぎで考えないとな。
幸いにも、相手はまだ俺の意図を探ってるかの様に動く気配はない。
俺が先手の方がいいと判断したように、彼女は後手の方が有利だと判断したのだろうか。
だからと言って、いや、だからこそ下手な先手を打てば返り討ちになりかねない。
さて、どうしたものか……
「ここに来る前にね」
お互いが動かずに時間が経つ中、スズさんが急に笑顔になって話始めた。
俺は反応せず、半分聞き流す程度で聞きながら先手を考える。
「カイ君に会ったの」
つもりだったが出来なかった。
カイさんの名前を出すのは卑怯だろ。まぁいいけど。
「今からギルドで模擬戦をするかもしれないって言うとね、あの子面白いこと言ってたわよ」
楽しそうにクスクスと笑いながら話すスズさん。
若干嫌な予感がしてきて、笑えない俺。
「カイ君ね、『きっと今行けば、スズさんはソウと戦うと思うよ』って」
予想出来てたのかよ。
カイさんがここに来いよ。あんたギルドの代表みたいなもんだろが。
「それとね、もうひとつ」
その一言と同時に、小さく寒気が走る。
この感じは、隠れた殺気を向けられた時に起こる反応。
「『ソウと戦う時は、殺す気でやらないと、傷ひとつ付けれないよ』」
殺気を向けられた。つまり、この人は今、俺を殺すつもりで戦おうとしている。
上等。いつもの事だ。いっつもSランクの人達に訓練と言う名のサンドバッグ(殺気あり)にされてるんだよ。
だからな。
ちょっと裏を取ったつもりの攻撃でも、読めてるよ。
「……」
「ったく。あんたの魔法って性格悪いな」
「……なるほど、カイ君に言われたことは、あながち間違えじゃないかも知れないですね」
何故か楽しそうに笑うスズさん。怖いわ。
そして、『分身』のスズさんが横たわっていて、その上に乗って心臓にナイフを突き刺す俺。
さて、いつもの状況整理。
スズさんの『分身』が前触れもなく背後から急に現れて『閃光』纏って突撃してきたので、やり返してやったでござる。
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