7982人が本棚に入れています
本棚に追加
もういい。戦おう。出来るだけ顔を見ずに戦おう。
攻め立てればおそらく、いや、ほぼ確実に勝てるはずだ。
理由は簡単で、ただの情報量の違いでだ。
俺はスズさんの手の内はほぼ把握している。とは言い切れはしないが、警戒すべきところはそう多くはないだろう。多分。
本当に注意すべきは、今はまだ全力ではないだろうから、本気を出したときの本当の実力だ。
対してスズさんは『転移』に関しては何回も見ているし、最悪、'視界内のみ'という条件も把握していると思っていた方がいい。
だが、俺の『壁』についてはおそらくかなり情報不足だろう。
俺が『転移魔法』や『防御魔法』を扱うということは、さすがにSランクになってしまってからはかなり広まりつつある。
が、しかし、"どのように『転移』するか"や"どんな『防御魔法』か"は実際に俺の戦いを見た人しかしらない。
もし、ユフィさん達が見た俺の『壁』の情報や、俺と馬鹿女との戦いを見た騎士からの情報があるとしても、それは『緑』『青』『黄』と『黒』だけだろう。『無』は見えないし、騎士の中に気付いた人がいるかどうかだな。
もしかしたら、もう『無』も勘づかれている可能性もなきにしもあらず。
だが、俺にはまだまだ違う色がある。
そこをついていけば、高い確立で勝てるだろう。
とういことで、変なことを考える前に行動。
個人的にスズ御姉様の一番の厄介なところは、あの機動性。それと大人な女性なオーラ。
あの速さがあれば、『壁』を張って追い込む前に逃げられる可能性があるからだ。
だったら、張りまくればいいだけか。
というわけで、『紫』を張ってみる。
場所は、俺とスズ御姉様の間。
意外にも、スズ御姉様は何も抵抗せずに、張るまで見ていてくれた。
「なにもしないんですね」
「........いえ、話には聞いていたけどこんな感じなんだなぁって思ってました」
なんだそりゃ。
ちなみに、この壁は防音対応ではないのあるのないので声の聞こえずらさは変わらない。
「ご感想は?」
「地味ですね。なんかこう、盾みたいなのが出て激しい攻撃を軽く防ぐようなイメージをしてました」
地味なのは否定はしない。でも、他のSランクの人や隊長の人達が派手すぎると思うの。
そう思うと、まだスズ御姉様は地味かな?いや、同じ顔の人がうじゃうじゃ沸いてくるのはインパクト強いな。全然地味じゃなかったわ。
最初のコメントを投稿しよう!