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さてと、さっさと行動しよう。
とか思った矢先、スズ御姉様が行動を取った。
それぞれ剣と槍を持った『分身』を二体召還。それが『閃光』を纏って、壁に向けて剣と槍を突き立てた。
だが、『紫』は魔法を一切通さない壁。魔法で作られた実態である剣と槍は、壁に当たった部分から消散して、剣と槍の半分ほど消えたところで『分身』が消滅した。
とりあえず、このことから『分身』の装備はある程度自由がある。それと、これはおそらくだが武器を含めてある程度破損したら消える。という情報が分かった。
スズ御姉様は消えた分身があった場所を無表情で、いや、ちょっと眉を潜めてるな。まぁ、殆ど表情を変えずに眺めている。
まだ『紫』については無知のスズ御姉様から見たら、おそらくこの壁は二つの能力のどちらかと判断しているのだろう。
本来の能力の"魔法を打ち消す"か、"物質、魔法を消す"という二つ。
それと、さっきから壁越しの俺の近くにに『分身』を召還しようとしているのか、『紫』がなにかしらの魔力を打ち消している。こういう情報も入るように一応設定している。
これで、スズ御姉様は賭けをしないといけなくなる。
この壁が消すのは、"魔力"か"全て"か。
前者なら、本体の武器で殴っても消えない。が、『紫』は物理的な力なら簡単に壊れるが、スズ御姉様はそれすらも知らないので、意味をなさない可能性があるといく考えがあるはずだ。まぁ、物理的な力が大丈夫という情報一つ入るなら、意味を成さなくても実行すべきだが、後者なら本体の武器で攻撃したら、武器を一つ失うう。
スズ御姉様は"速度"を主体にしているためか、武器は軽装で本体が持っているのは両刃の剣のみだ。
もし消すのが"魔法"だけならこの剣を突き立てても消えない。壊せるかはまだ不明だが。
もし"物質魔力共々"なら、剣を失う。緊急時の盾であり、武器でもある剣を失うのは戦況をかなり不利にする。というのがおそらくスズ御姉様が考えている事だろう。俺ならそう考える。だから確実ではないが。
まぁ、この人は常に自分の出来ることの「最高」を考えてかつ、自分にとって「最悪」な事態を想定しながら戦う人だろう。だからこそ、壁の対応に戸惑う。
要するにスズ御姉様は、この『壁』を作らせた時点で、そしてこの『壁』に『分身』を向かわせた時点で自分がかなり不利になってしまうのを、みすみす逃したのだ。
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