任務開始(キリッ)

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入学式の三日前の日の話である。 「着いてきて」 「……は?」 家に怪獣が攻め込んできた。 間違えた。 ゴリラ(♀)が攻め込んできた。 「で?」 「だから、着いて来いって言ってんのよ」 ゴリラ(♀)ことリーシャ・グロウ様が、少々苛立ち混じりの、いつもの強気の物言いで俺の部屋の椅子に座り、俺は寝ている所を襲撃されて、ベッドの上で胡座(あぐら)をかきながら、ちょっと不機嫌ながらそこまで寝起きに弱い訳でもないので、とりあえずここに来た理由を問い掛ける。 まぁ不機嫌な理由は、寝ている時にいきなり布団を分捕られ、安眠していた俺は温かみを失い、しかも更にそこで「私に着いて来い」発言をされて、とりあえず意味が分からなかったからだ。 「……もう少し、解りやすく」 「護衛のあんたがいないお陰で今日まで買い物にも行けなかった」 「……別に、誰か使いに行かせればいいだろ」 「学校で使う物だし、自分の目で見て買いたいのよ。」 「……別に護衛は俺じゃなくてもいいだろ」 「お父様が他に護衛を付けてくれないの」 「……ここまで来るのは一人で?」 「まさか。ちゃんと馬車と護衛の人達と来たわよ。お父様の命令で」 「……そか」 『お父様の命令で』の辺りが強調されて言う辺り、またあの王様のせいか。 なんて言うか、コイツもある意味災難だな。 「……三分待ってろ」 「……外出とく」 察してくれた馬鹿女は椅子から立ち上がり、部屋の外に出て行った。 察してくれた、と言ってもただ着替えるだけだが。
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