7982人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
例えば騎士の人に。
例えば他のSランクの人に。
誰になろうと少なくとも、知名度が低い俺よりかは王族の護衛に向いている。
なんせ、彼等は一人一人が英雄視されているくらいの強さを持った人達だし。
何故俺が有名にならないか、いや、Sランクだから二つ名は広まってはいるだろうが、Sランクという肩書きを持ちながらも持て囃(はや)されていないのかというと、やはり魔法使いとして『異質』だからだろう。
いや、はっきり言うと、魔法使いとは極めるとやることが大胆なのだ。
山一つ消したり、ドラゴン瞬殺したり、大爆発起こしたり、雷落としたりと。
更には、全員がルックスも一癖ある。
イケメンだったり美人だったり一度見たら忘れられなかったりと。
その中で、ただ壁を張るだけの雑草人間が居てみろ。
結果なんぞ言わなくても分かる。
まぁそれに、騎士は詳しくは知らないが、忙しいらしいし、Sランクは俺含め四人で、その全員が仕事で忙しい。
風を主に使い、最強と言われている『天空の騎士』ことカイさんは幼なじみで婚約者のシェリさんの護衛。
他のSランクも軽く説明すると、剣と水の申し子こと『水神の巫女』と、ただ一点の破壊力を極めた『破壊の竜闘士』は、遠征している。
そう考えると、俺は暇なんだなとか思わなくもないが、今はどうでもいい。
今は自分の立場を守る事を考えないといけない。
「無理だから言ってんのよ!」
全否定されました。
いや、立場を守りたいって心の中で思った方を否定したのではなく、その前に「誰かに仕事変わってほしいわぁ」と呟いた事に対しての否定だろう。
まぁ、それは俺も無理だと思っている。
なんせ、相手はあの王様だ。
いい人ではあるが、決めた事はほとんど曲げない人である。
しかもIQも高く、更にはEQも高い完璧人間の事だ。俺が王族の護衛に似合わない事なんて承知の上でだろう。
それでも俺に任せたのだ。何かしらの考えがあるのだろう。
ということは。
「だから、アンタが周りに認められるしかないのよ。この国のSランクとして、英雄として」
最初のコメントを投稿しよう!