ハツコイ~俺の場合~

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この声は… あれ、誰だ? 目の前にはスッゴい美人が立っている。 顔と声が頭ン中で上手く結びつかない。 「あんた相変わらずアホ面ね」 …なんだこの容赦ない感じは。 「カオリ!」 隣で片桐が高い声をあげる。 「ミホ!久しぶり。広瀬くんも。二人ともおめでとう」 「ありがとうございます」 ソイツは広瀬とお互い挨拶している。…広瀬とも知り合いらしい。 それにしても、カオリってどっかで… …カオリ? 「げっ、オマエ、寺本か!?」 思い出した。寺本、香織。俺の天敵! 「忘れてたの?信じられない。」 つんとした言い方。 コイツなら広瀬と親しいのも分かる。なぜなら、高等部の生徒会長をやっていたからだ。 広瀬づてに片桐と知り合い、びっくりするほど仲良くなった。俺への態度は…見ての通り。 「ね、カオリ、カス本なんてほっといてさ、ねぇ、イタリアの話、聞かせてよ」 …イタリアだぁ? 「ミホ、相変わらずその呼び方なのね」 クス、と笑って寺本香織は片桐の腕を取った。 「いいわ、こんなアホ面置いといて、行きましょ、ミホ、広瀬くん。私も明日の式のこと聞きたいわ」 はぁ~。アホやらカスやら、言いたい放題言いやがって。 そして俺は一人取り残される。 しかし、俺の中には今の状況とは全く別な感情がぐるぐる渦巻いていた。
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