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あの約束は、嘘だったのかと思い始めた矢先だった。
あの人が、俺達のとこに突然現れた。
驚き過ぎて、その場に固まってしまった。
あの人が向かった四階を見ながら。
そんな俺を不信に思ったのだろう。
「直哉……?
どうしたんだ?
様子がおかしいぞ」
「かっ……づさ……。
来た……、約束…っ」
「落ち着け、直哉!
何があったんだ?」
「…っ智香が」
「智香……?」
「智香が、来たんだよ!
ここにっ!!
約束守りに来たんだよ、やっと………っ」
和津沙に話しかけられた瞬間、
俺の中で〝何か〟が弾けた。
嬉し過ぎて、涙が出てきた。
男の癖にって思うけど、今はそんなの気にしてられない。
やっと、あの人…――――智香が、来てくれたのだから。
待ちに待ち望んだ日がきたんだ。
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