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自分の身体が空中に浮いた。
そんな体験をしたのと同時に冷たいコンクリートに叩きつけられる自身の身体。
『人が………は……ぞー!』
そんな周りの僅かな雑音と
誰かが駆け寄って来て何か言っているが声は全く解らない。
解るのは全身を駆け巡る身体の痛みとツンと鼻につく鉄の匂い。
(何でこんなに全身が痛いんだろうか?)
朧気に蘇るのは
横断歩道の信号が青に変わるのを待っていた事だけ。
そして、今の俺は
何故か道路に倒れ込んでいる。
全身から力がどんどん抜けていく。
それは明らかに何かが終わろうとしているのが解った。
(ー俺は…このまま死ぬんだな…なんて呆気ない最期なんだよ。)
しかも車に跳ねられるとは。
どんだけ不運な運命なんだと。
そんな皮肉な冗談を心の内で呟いていると
それすらも遮るかの様に
俺の意識は
完全にこの世界から切り離された。
17の冬。
俺・井上和也(いのうえかずや)は
こんな形で生命の終わりを迎えたのでした。
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