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(…違う、それだけは絶対に)
脳裏から必死にその可能性を消去する。
それは絶対に有り得ないから。
『もしもーし!和、カズー和也くんー?』
謡の俺を呼ぶ声に
俺はようやく我に返る。
そんな様子の俺に
謡は疑問に思ったのか
『なんかさぁ、妹ちゃんと会ってからなんかずっと様子おかしくない?』
何を聞いたのかは知らないけど。
そう付け加えた謡の問い掛けに
俺が答えずにいると。
指輪の向こうから聞こえたのは
一息つく声。
『ま、どうするかはアンタ次第よ。行動するのも真実を確かめるのもね。ま、頑張りなさい』
プツンッ。
通信のスイッチが切れた音が耳に届いた。
(本当に言うだけ言って勝手に切るなんて相変わらず自分勝手な女だな)
そんな謡に振り回されている俺も俺だが。
「アラタ…、悪いな。しばらくの間、お前の身体を借りるな?俺、自分の目で確かめたい。そして自分の力で真実に辿り着きたいんだ」
身体を借りている間。
本人は中で眠り続けているアラタに俺は今日あった出来事を色々と話した。
今のアラタ本人には
眠っているから俺の声は聞こえてないんだろうけど。
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