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この声を聞くと
頭の中でダース・ベイダーのテーマが流れるんだよいや本気で。
「人の心の声を勝手に読まないでくれませんか?謡さん」
『うわっ!…あんたからさん付けで呼ばれるなんて!ちょっと大丈夫?どっかで頭打ったか何か朝から変なモン食べた?』
(コイツ、本気で殴りてぇ。)
いや実際に本当にやったら謡からの倍返しは確実だろうけど。
それでも覚悟の上です。
いや、本当に。
『それとも…たとえ自分が居なくても良いんじゃないかとでも言わないでしょうね?』
何も言い返さない俺に
謡のため息が聞こえた。
『アンタと同様…同じ様な方法を取った人は必ず同じ事を思うようになって言ってきたわ。そしてそのうちの何人かは自分で正体をバラしてしまって私が間(はざま)に強制的に連れ戻してきたのよね』
「間に連れ戻した奴はまたどうするんだ?」
俺の質問に
謡が少しの間黙りこむ。
『…私が再び、最初に来た時と同じ質問をするの。大抵はまた違う他人になってもう一度、現世へとまた行くんだけど…』
「そうじゃない選択をする奴も出てくるのか」
俺の言葉に謡は黙りこむ。
中には絶望してヤケになって死を選ぶ奴も居るって事だ。
『死を選んだ人間はそちらと同じで自殺扱いになるの。そうなると魂はずっと間、もしくは三途の川にとどまる事になるわ』
「…成る程な」
自分で命を落とした人間は
自分でそれを償っていかなければならない。
それでも自ら命を絶つ人は
今でもこの瞬間にも居るのだ。
悲しい事に。
『……生きにくい世の中になったわね』
そんな謡の独り言に
俺は何も言えなかった。
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