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暫しの沈黙が流れる。
彼女の口元がゆっくりと開くと
「まあ、良いや。もう一度だけ聞くわ。生きるか死ぬか、さっさとどちらか選んで?あ、5秒以内にね」
返事は俺が予想していたのと全く違う結果だった。
彼女は俺の質問を完全に総スルーし先程と同じ台詞を俺にもう一度言ったのだ。
(しかも5秒以内ってなんだよ…5秒以内って!)
初対面でこの上から目線の態度といい発言といい。
どんだけ傲慢な高飛車な女だ。
まだまだ色々とこの女について愚痴りたいところだが
まずはグッと怒りを堪えて
自分を落ち着かせる様にゆっくり一息をつくと
「理解してもらえなかったようだから、俺も改めてもう一度だけ質問させてもらっていいかな?…此処は一体、何処なんですか?」
彼女の顔は明らかにめんどくさそうに眉をひそめて
溜め息をついたのと同時に
「だからさー、いい加減早く答えてくんないかなー?生きるか死ぬか。3秒以内にさ」
「2秒減らすな!!」
これは流石の俺も突っ込まずにはいられなかった。
(この女…絶対に俺の質問に答える気、さらさらねぇな。)
しかも表情といい明らかにこちらを馬鹿にするような言動と態度だ。
いや、絶対に
俺の事馬鹿にしてるだろこの女。
俺の反応を見ていた女が
ふぅ、と一息つくなり
「ま、面白い反応も見れた事だししょうがないから今回だけは特別に教えてあげるわ。ここは生と死の間(はざま)よ」
「生と死の間?」
初めて聞く言葉に
俺が首を傾げていると
「まぁ、聞いた事無くて当然だわね。この場所に来るのはめったに居ないし。そうね…そっちの世界のかの言葉で簡単に言えば三途の川的なトコかしら」
「三途の川!?」
死んだ人の魂が天国か地獄に
渡る為に存在する三途の川。
(って事は、俺。やっぱり死んだのか…?)
死という現実が改めて
自分の身体に重くのしかかってきた。
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