【初日】生と死の間

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「!!」 流れ始めた映像。 その内容に俺は驚きを隠せずにいた。 そこに映っていたのは 俺が病院のベットでたくさんの管に繋げられて呼吸器を装着して寝ている姿。 そんな俺の傍には 泣き腫らした目の両親や不安そうに見ている親戚の人達。 「オイ、カズ!このまま死んだりしたら絶対に許さねえからな!!」 そう泣き叫ぶ親友の姿があった。 「父さん、母さん。松山のおじさんとおばさんに森下のおじさん達…勝悟(しょうご)。」 次々とその場にいる人達の名を呟く俺に彼女は隣に立つと 「これね、今現在の状況なの」 「今現在…?つまりリアルタイムでこの状況が映し出されてるのか?」 そう聞いた俺に 彼女はくつり、と笑い いつの間に取り出したのか手にしていた本をパラパラとめくりながら 「井上和也(いのうえかずや)、現在高校2年生。5月21日生まれの双子座、身長は169cmで体重は55kg、高校では中学の時から続けていたサッカー部へ入部、1年生の時は補欠であったが2年の春の大会からレギュラーになった。荒牧勝悟(あらまきしょうご)とは保育園の時からの親友でありライバル。家族構成は両親と1つ下の妹に犬が一匹…名はマックス、性別はオス」 会ってから互いに自己紹介すらしてない俺の名を口にした彼女。 しかもそれだけではない。 俺の個人情報も次々と読み上げていく事にも。 「現在、彼女は無し。しかし、想いを寄せている子は親友の彼女の…」 「いい加減にしろっ!!」 俺が遮る様に叫ぶと 彼女はクスッと笑い、パタリと本を閉じた。 まるで俺の全てを見透かしているような表情をして。 「後悔するぐらいなら好きならちゃんと好きだと伝えればいいのに」 「……。」 (言えるわけない。) そんな事、言えるわけがない。 「…親友を傷つけたくないから」 「!!」 彼女の指摘は正に図星だった。 俺が驚きを隠せないまま 視線を反らす姿に彼女は再び笑みを浮かべて 「男同士の美しい友情ね。でもね?それが時には相手を傷つける事だってあるのよ?特に大事な人なら尚更」 「……………」 そんな彼女の言葉は 明らかに俺の全てを見透かしているようだった。
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