第二章 救うための戦い

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サンスルス遺跡に着いた。 ここはいつも不思議な雰囲気を醸し出しているが、今日は僅かに邪悪な雰囲気が混じっている。 この中にエルンがいる…… 「よし!行くぞ!」 俺は気合いを入れると、天井が崩れている遺跡に足を踏み入れた。 遺跡の中は非常に足場が悪い。 気をつけてないと転びそうなほどだ。 それでも俺はゆっくりと前に歩き続けた。 しばらく歩くと、目の前に広く開けた広場のような場所に出た。 それと同時に、あの時に感じた魔力も強く感じた。 「やっぱりここにあいつがいるか……」 「『ダークアロー』!」 背後から闇の矢が放たれ、俺はそれをギリギリで避ける。 その直後、広場の中央に闇が集まり、その中からあの男が出てきた。 「よぉ。ちゃんと一人で来たみてぇだな……感心感心」 男は周りを見渡すと、顎に手を当てて頷いた。 「エルンはどこだ……」 「アイツは俺の特別ステージにいるぜ……ただ……正気を保っているかどうか知らねぇがなぁッ!」 男が剣を抜き、俺に迫る。俺はそれを左の短刀で受け流すと、左の短刀でなぎ払った。 しかし、当たったはずなのに男の体には傷一つなく、男は再び広場の中央に戻った。 「どういう事だ!?お前、エルンに何をした!」 俺は男に向けて右の短刀を怒りを込めて投げた。 しかし、その短刀は男の腹を通り抜け、カランと音を立てて地面に落ちた。 「なに、ちょっと闇の魔力を注いだだけさ……人一人の性質を変えられるギリギリの量だがな……」 「性質を変える!?ふざけるな!なら、俺はお前を倒して早くエルンを助け出す!」 俺は、ニヤリと笑った男に左の短刀の先を向けると、短刀を構え、男に向けて全力で走りだした。
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