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「はっ!とりゃあぁっ!はぁ……次から次へとうざいんだけど……」
私は襲いかかってきた男達を殴り飛ばして距離をとると、額の汗を拭った。すると、背後から魔力を感じ、私は振り返った。
[『フレイム』!]
「もう!面倒くさいわね!『シルド』!」
私は放たれた炎を魔力の盾で防ぐと、魔法を放った3人に近づいて殴り飛ばしてそのまま体を捻り、背後の敵を蹴り飛ばした。
「クレス!大丈夫!?」
「まぁ、何とか……っ!危ない!エルンちゃん!」
私は振り向いて背後を見ると、そこには剣を振りかざして構えている男がいた。
「やばっ……」
男の剣が振り下ろされる。私は避けられるような体制じゃない。
(私、死ぬのかな……)
そう思って目を閉じたその時、光が何かに遮られた。
そして響き渡る金属音。私は何が起こったのか分からず、恐る恐る目を開けた。するとそこには魔宝玉の埋め込まれた短刀を片手に持って剣を防いでいるクレスがいた。
「クレ……ス?」
「大丈夫か?エルン」
でも何かがおかしい。
「どうしちゃったのクレス?頭おかしくなったの?すごく気持ち悪いんだけど……」
「いや、これが本当の俺だ。いっつもエルンの前では俺でも訳わかんねぇ内に変な事ばっかやってたから、違和感を感じるんじゃねぇか?」
クレスは私を見て微笑むと、男の顎を殴り気絶させた。
「ほら。これ使えよ。エルンはこっちの方が慣れてるだろ?」
「あ、ありがと……」
クレスは男の手から剣を取ると、私に手渡してまた敵の中へと入っていった。
「クレス……あんな物、どこで……?」
私の中の疑問は増えるばかりだ。
でも、いつまでもこうしてはいられない。
「私だって、やってやるんだから!」
私は両頬を叩いて気合いを入れると、敵の中へと走っていった。
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