三河殿接待

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『金銀を惜しまず心尽くしにせよ』 信長は饗応役の家臣にそう命じた。 三河からの客人は連れの家臣とは別に一人の貴人を伴っていた。 穴山信君(アナヤマ ノブキミ) 俗に梅雪入道と呼ばれているこの武田の旧臣は今回の武田攻めに先だって主君勝頼を見限り徳川方に寝返っていた。 そしてその功により信長から甲斐の巨摩郡を貰ったその御礼言上の為に家康に同行していたのである。 家康一行は美濃の信長領に入った。 美濃の国持ちや郡持ちの大小名達は自ら家康の草履を取る様にして一行を持て成した。 心尽くしにしなければ信長の機嫌が損なわれるから必死に持て成した。 領内の沿道はみな道普請が成されているがこれは家康のやった事を大いに真似た物である。 間もなく一行は近江に入った。
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