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斎藤内蔵助利三(サイトウトシミツ)。
明智光秀の信頼厚いこの男、実は光秀の配下となってまだ月日が浅い。
元は美濃の有力武将稲葉一徹の与力衆であった。
稲葉一徹はその名が後の代名詞となるほど頑固者で知られていた。
事ある毎に利三と意見がぶつかり遂に利三は出奔してしまった。
当時信長の元で急速に出世を遂げていた光秀は以前から反りの合う利三に声を掛けた。
『今、浮浪の身であるなら是非この光秀にお力添え下さらぬか』
(同じ将として……美濃の頑固者とはこうも違うものなのか…)
身分が上にも係わらず礼儀正しい光秀の懇願に利三は感銘を受け心よくその幕下に加わった。
それからは光秀の先陣には常に内蔵助がいた。
槍働きや兵の進退の駆け引き等、光秀が感心する程に内蔵助は良くできた。
『さすが美濃者は戦上手よ』
こうして内蔵助は短期間で光秀の信頼を得て明智家の重臣となってゆく。
(この殿の為ならば)
内蔵助もいつしか強くそう思う様になっていた。
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