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グー…キュルルル…
「えっ?」
私は少し目を見開いた。
今おなかが鳴ったのって、
私じゃなくて…、猫…!?
「もしかして…おなかすいたの!?」
「ニャア」
力なく答えるように鳴いた猫は
本当におなかが空いているように見えた。
私は猫を持ち上げたまましばし考え込むように上を向くと、
抱き抱えて笑って言った。
「ご飯、食べよっか!」
明るくそう言って、
私は再び家路を歩き出した。
私の心には期待があった。
つい今し方ついた傷を
この子が癒してくれる期待。
そして、忘れさせてくれる期待。
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