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歩き続けていくらか経ち
自宅の近所の公園に差し掛かった頃
私は立ち止まり、ふと空を見上げた。
雨降りだからか、
今日は茜色の空は拝めない。
視界の中の薄暗い鉛色の空に
少しだけ入っているオレンジ色の傘が
嫌に眩しかった。
「───……」
3年も付き合って別れたから、
もっと泣き崩れるとかしてもいいんじゃないか
とは思うが、
やはり実感がない。
先ほど流れた涙は
たぶん、あまりのショックで涙腺が
ほんの少し緩んだからなのだろう。
きっと、明日からの生活で
実感は嫌でもわいてくるのかも知れない。
そんなことを思い、
またぼんやりと顔を戻した時だった。
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