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私がそう呟いた途端、
垣根の葉がカサカサと動き出した。
私は傘の取っ手を両手で握りしめ、
その一点を凝視していた。
そして、ガサッという音と共に、
白い物体が姿を現した。
「ニャァォーゥ…」
白く美しい毛並みに
それに等しい、ガラスのようなグレーの鋭い瞳。
凛とした顔。
それは本当に可愛くて、
美しい猫だった。
「あは、やっぱり猫かぁ…」
私は少し顔を綻ばせてそう言うと、
猫を驚かせぬよう静かにしゃがみ、
猫に視線を合わせた。
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