15人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の短所は唐突に後先考えないまま、物事を思いつきで実行に移してしまう癖が
あるところだ。本来なら、癖とは言わないのだが・・彼女の場合は異例なのである。
(いつも・・そうだ)
この日の彼女『久遠 優稀(くどうゆうき)』は満足げな顔をしながら自分の定位
置、生徒会長席に腕組みをし、鼻歌交じりで座った。彼女は篠宮学園の生徒執行部会長
である。
そんな優稀の様子を呆れた表情で見ていたのは、執行部の『白菊 菜依(しら
ぎくなえ)』であった。彼女は、会長である優稀の幼馴染みでもあるので、彼女
の企みに薄々身の危険を感じていた。
そんなことを考えながら、菜依は不審な笑みを浮かべる優稀の前に立った。
「ゆきちゃん。どうして、そんなにご機嫌なのか・・理由をご説明ください」
「ご機嫌に見える?なぁーちゃん」
「えぇ・・気持ち悪いくらいに」
菜依は嫌な予感を覚えた。
そして、優稀は理事長宛の茶封筒を菜依の前に差し出した。
「なんですか?」
「なぁーちゃんのお爺様、理事長からの辞令・・」
優稀はそう言って彼女に渡した。
そして、菜依が茶封筒の中身を確認した直後、生徒会執行部に激震が走った。
最初のコメントを投稿しよう!