小説はフィクションなんだから

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Aは驚いていた。 数年前に自分がZに殺された時も相当驚いたが、今も同じくらい驚いている。 ZがAの目の前に現れたのだ。 こっちの世界に来たという事はZも死んだのだろうか。 Aがそんな事を考えていると、Zがこちらを見た。 Aは思わず会釈しそうになるが、慌てて首の動きを止める。 自分を殺した人間に会釈なんかしてどうするのだ。 ZがゆっくりとAに近づいてきた。 AはZに訊ねた。 「死んだのか」 Zは一度だけ首を縦に振った。 Aはさらに訊ねた。 「どうして私を殺した」 ZはAから目をそらし、自分の足元を見つめた。 AはZに駆け寄り、両手で胸ぐらを掴んだ。 「どうしてだ!」
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