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AはZの前に立つと大声で叫んだ。
「どうして私を殺したんだ!」
すると、今まで動機に関してはずっと口を閉ざしていたZがついに口を開いた。
Aの気迫に圧されたのかもしれないし、単なる気まぐれなのかもしれない。
「小説だよ」
「小説?」
「小説の中の主人公が人を殺していた……」
Zの目は何処か遠くを見つめている。
「その主人公はこう言ったんだ『人を殺す時のあのえもいわれぬ快感だけはいくつになってもやめられない』って。だから自分も人を殺してみたくなったんだ」
あまりにも理不尽な理由にAは思わず笑ってしまった。
しかし、その笑顔の中の目は決して笑ってはいなかった。
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