小説はフィクションなんだから

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「どうして私なんだ」 Aは笑いながら聞いた。 「別に誰でも良かった」 Zの声は機械のようにZの考えだけを伝える。 「たまたまあなたの事があまり好きじゃなかったからあなたにした」 そう答えるZの顔を見てAは笑うのを止めた。 Zの顔があまりにも無表情だったからだ。 殺人行為への後悔や反省の色はおろか、感情というものがそこには欠如していた。 自分は小説のせいで殺された。 そう思うと、Aは言い様のない虚無感に襲われた。 Aはその場に泣き崩れた。 Zは相変わらずの無表情でそんなAを見ていた。 Aは泣きながら言った。 「こんな事なら『小説はフィクションなんだからそのつもりで読め』って生きてるうちに言ってやれば良かった」 『小説はフィクションなんだから……』 そう、この物語もまたフィクションである。 Fin.
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