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【泥棒】
下調べは完璧だった。
部屋の住人は警備の仕事で朝まで戻って来ない。
もちろん、部屋から明かりが漏れてくる事もない。
誰も居ないのだから。
赤木は念のためインターホンを鳴らした。
やはり、人の居る気配はない。
自分が立っている通路に人影がないのを確認すると、赤木は鍵穴に針金を突っ込んだ。
このタイプの鍵には慣れていた。
だからこそ、このマンションを狙ったのだった。
がちゃり、と音を立て、鍵が開く。
赤木は顔がにやけるのを止められない。
自分の腕の良さが物を言う世界。
そんな世界で赤木は生きていた。
扉を開け、忍び込む。
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