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「冬目さんって何か……格好いいね。名前も見た目も」
「……格好いい?……の?……私」
「うん。格好いい。みんな落ち着かない中で一人で席に着いてて……格好良かった。だから声かけたの」
と沢田沙耶は悪びれもなく上品に笑った。沢田沙耶は笑顔も可愛かった。
丁度、女の先生が教室に入って来て大きな声で言った。
「はーい!ホームルームを始めます。自分の名前が書いてある席に座って下さい」
沢田沙耶は、じゃあね。と言って前の方の席に着いた。
「これから出席をとります。一言、自己紹介して下さい。因みに、名前だけでもいいですよ~」
「あっ!その前に私が自己紹介しなくちゃね!忘れちゃってたわ」
クラスのみんなが笑った。何か間の抜けてる先生だなぁ。
先生は黒板に大きく【松井鈴】と書いた。
「私の名前は、松井鈴(マツイ.スズ)です。よろしくね」
「では、改めて出席をとります」
「沢田沙耶さん」
「はい。沢田沙耶です。小学校は上田小学校です。よろしくお願いします」
上田小学校だったんだ。私の小学校とは正反対の方だ。何か沢田って優等生って感じだなぁ。
「冬目光さん」
「あっ、はい!冬目光です。下田小学校です。よろしくお願いします」
全員の出席をとり終わり、まずクラス委員長と副委員長を決めたいと思います。と先生が言った。
普通、誰も手を上げたりしないが何と無く私は【沢田、手を上げるな】と思った。……思った通り沢田は手を上げてクラス委員長になった。やっぱりなぁ~と沢田を見てた。副委員長は、佐藤望と言う男の子がなった。佐藤望も優等生っぽい感じがした。
「では、教科書を配りますので副委員長と相川、石田、井原、来てちょうだい。教科書は重いから男子の仕事ね」
と松井先生は言った。
先生が居なくなって、ザワザワするクラス。私の前に座ってた思い切りギャル系の女、東里美(ヒガシ.サトミ)が振り向いて喋ってきた。
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