第一章・入学式

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先生と男子が教科書を重そうに持ちながら教室に帰ってきた。静まり返った教室に。 松井先生は、何かあったの?と沢田に聞いた。 「いえ、ちょっと喧嘩がありまして。もうお互いに謝りましたのですみました」 「誰と誰が喧嘩したの?」 沢田は躊躇いながら言った。 「東さんと冬目さんです」 「女の子同士でいきなり喧嘩なんて……東、冬目。後で職員室に来なさい」 「はい」 二人とも返事をした。 東は先生には言わない奴なんだ。 教科書を配り終えてから私は……いや、みんな困ってた。持って帰れない量だった。 私はカバンに入る分だけ持って帰る事にした。後は、明日でいいや。とロッカーに入れて帰ろうとしたら……早速、東はお姉ちゃんに泣き付いたらしい……五人、二年生か三年生らしき人達が下駄箱の外で私を待っていた。 「ちょっと用事があるんだけど……来な」 二個しか違わないのに偉そうだなぁ~……。体育館の裏の方に五人に囲まれながら連れてかれた。 案の定、東里美が居た。隣に竹刀を肩に乗せて威張っている真ん中の人が、東ミオ?だっけ?…………私を連れて来た五人、東のお姉ちゃんの回りに三人。 相手は誰だ? 「今日は妹に挨拶してくれたんだってな……こっちも挨拶しないといけないよね」 東のお姉ちゃんが立ち上がった。東お姉ちゃんが相手か? 「私が挨拶の仕方教えてやるよ」 竹刀を地面に叩き付けた。 「挨拶の仕方くらい知ってます。帰っていいですか?」 回りが、こいつ完全に舐めてるよ。とか、バカだな。とか呟いている。 「挨拶ってのは、こうやるんだよ!」 東お姉ちゃんが竹刀で横腹を狙ってきた。カバンで防御。今度は上から来た。カバンで防御。……このお姉ちゃん竹刀の使い方知ってるのかな? 「……舐めやがって」
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