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外に出ると、昨夜の雪がまだ残ったまま日差しに反射して思わず目を細めた。
そのまま歩いてしばらくすると、お店の立ち並ぶ「ファッション通り」(地元ではそう呼ばれている)に到着した。
クリスマス前ということもあり、予想通り道行く人々の中には恋人同士が手を繋いで歩く姿が多々見受けられる。
皐月はそれらの幸せそうな笑顔を見ながら、少しだけ胸が締めつけられるような気がした。
皐月は、これまでに交際を経験していないわけではない。
高校・大学時代にも、数人の男性と交際していた。
しかし、どれも長続きしないままに終わりを迎えてしまった。
そして大学時代の恋愛は、皐月にとって嫌な思い出としか言い様のないものだった。
彼が、同じ学科の皐月の友人から告白を受け二股をかけてしばらくしたのち、結局そちらに乗り換えてしまったのだ。
皐月本人は、二股をかけられていることさえ知らなかった。時折、その彼女からの視線を感じる程度で。
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