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マフラーをぐるぐるに巻き手袋をはめ、数十分前に道行く人々がしていたように腕を組んで、夜のネオンの下を足早に歩いて行く。 クリスマスが近いからか(とはいっても、まだ12月あたまだが)、至る所にイルミネーションやサンタクロースの置物が展示されている。 相変わらず、世の中は馬鹿みたいに先取り競争だな。まだ早いだろうに。 そんなことを思う彼女を世の中の人々は、流行遅れ、夢が無い、冷めているというだろう。 その通り、彼女は冷めている。 恋愛も、仕事も、人間に対しても。 ただ毎日を淡々と生き、目標もなく与えられたことをやるだけでいい、先取りなどしなくともいずれはやってくるのだから。 例え明日死ぬとしても、何の悔いもないし、それはやってくるものなのだからと受け入れられる。 青山皐月は、そんな人間である。 朝眠りから覚めれば、職場に出向き書類と格闘し、お昼は1人でお弁当を食べ、食堂へ行った皆より少し早く作業を開始する。 しかし作業を早く終えるためか、上から追加の仕事を頼まれ、結局残業する羽目になる。そしてほぼ毎日、この時間帯にこのカフェへ訪れる。
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