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明日も明後日も、これから先もずっと。
何も変わらないまま生きていって、恋もしないままお婆ちゃんになって、死んでいくんだろう。
それでも何も悔いはない。
事務の業務をしながら、1日をそれこそ事務的に過ごす皐月はこう思っているし、そのことに対して何の不満も持っていなかった。
駅にたどり着き、改札を抜ける。そしていつも通り、タイミング良く電車が来る。
一番近くの扉から乗り込み、出口近くの手すりに寄りかかる。
ここが、いつもの皐月ポジションなのだ。
ため息をつきつつふと顔を上げれば、学生服を着た若い女の子が参考書とにらめっこをしながら立っていた。
そうか。
期末試験、だっけ。
若かりし頃の記憶が引っ張りだされ、ぼんやりと昔のことを思い出した。
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