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「また明日ね。」
「(ありがとう。行ってらっしゃい。)」
こんな生活が1年続いた。
そして春を待たずとして
父ちゃんは眠るように
息を引き取った。
静かで静かな朝だった。
あの日から3ヶ月。
アタシは
また元の生活に戻っていた。
夕方に病院に行く
という日課は
なくなってしまったけれど。
深夜に帰宅して
ぽけーっとしながら
パソコンを立ち上げる。
あ
恭ちゃんからメールきてる。
相変わらず自分の話ばっかり。
また買物いっぱいして…。
大学も歯医者も忙しいんだねぇ。
メールを読みながら
頭の中で返事をする。
「忙しい」ばかりで
唯一のメールも疎かになっていって。
遠距離恋愛をしていた
歯医者の恭ちゃんとは
なんとなく別れた。
だけど
別れてからの方が
何かが吹っ切れたのか
前よりなんでも
話せるようになったかも。
アタシは、ね。
そういえば
恭ちゃんのスキな
オカノさんのCD
買ったんだった。
聴かなきゃ。
恭ちゃんが大好きなアーティスト。
アタシはまったく
興味がなかったんだけど。
聴いてみると
とてもよかった。
歌詞を見て
感動しちゃったぐらいにして。
へぇ
いい曲いっぱいだなぁ。
触発されて
ずっと書いていなかった
小説を書きはじめる。
物書き志望とかいって
全然書いてなかったもんな。
恭ちゃんとのコト
小説にしてやろ。
アタシは黙々と
パソコンに向き合った。
「完全にノンフィクションだな、コレ…。」
なんとなく
自己満足して
アタシはベッドに入った。
この小説がまさか
あんな展開を巻き起こすなんて
この時のアタシには
想像もできなかったっけ。
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