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大柄な身長とは反比例して、道着の上からでも体つきは細いと分かる。でもそれは痩せているというより、極限まで引き締まった筋肉をしているのだと分かる。まるで抜き放った日本刀の様な……触れるものを斬り裂く様な雰囲気を放っていた。
正直言って、第一印象で良い人ではないと感じてしまった。
白髪の混じった髪を短く刈り込んだ上穂さんは、鋭い目をこちらに向けてきた。
「残り一人になったと思ったら、応援を連れてきたのか」
「そんなつもりは無かったけど、結果的にはそうなるかニャ~」
上穂さんに軽口を叩きながら、ひかりは僕と川原先輩の方に顔を向けてきた。
「それじゃあ、手伝ってくれるかな?」
「?」
「いいともー、とは言えないよ」
ひかりのボケが分からず怪訝な顔をする川原先輩の代わりに、ツッコミを入れた。
「そもそも、今の状況が全然分からないんだけど」
ただならぬ状況だとは何となく分かるけど、それ以上の事は全く分からない。
「私達であの人を倒し、逮捕する必要があるの!」
上穂さんを警戒しながら、あやめ先輩が摺り足でこちらに近付いてきた。
「倒す? 逮捕?」
月さんの宿題と被った事に驚きながらも、あやめ先輩が口にした別の必要事項に更に驚いてしまう。
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