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「ど…どうしてですかッ!?」
「あの人が武力で日本征服を企んでるからだよ」
「……は?」
あやめ先輩の代わりに答えてくれたひかりに思わず聞き返してしまった。
「武力による日本征服って……今時、特撮ヒーロー物でも聞かないよッ!?」
「あたしに言われてもニャ~。本人がそう言ってるんだもん」
疲れた様にため息をつくひかり。
咄嗟に上穂さんの方を見ると、恐ろしく真剣な顔をしていた。
「今の世の中、人の上に立つ条件が複雑過ぎる。『強い者が世を支配する』……シンプルで分かりやすくだろう」
ゾッ
目の前で拳を握り締める上穂さんを見て、背筋に悪寒が走った。
こ…この人……本気で言っている。
真っ直ぐな瞳で、純粋な心で、圧倒的な力で、単純に歪んでいる。
「ワタシの様な力を持つ者が、人の下に付くなどあってはならない! それは純粋な武への裏切り行為だ! だから、世を征服しよう。この日本を……征服しようッ!!」
「まぁ、あんな思想の……しかも下手な兵器より強力な力を持つ人物を放って置けないって事で、あたしと如月先輩に『上穂重慶逮捕依頼』が来たって訳」
熱弁を振るう上穂さん……上穂と違い、ひかりは憔悴した様なため息をついた。
憔悴の理由は上穂の思想に付いていけないからだけ……という訳でもなさそうだ。
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