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※※※
僕は思い違いをしていた。
60点の上穂が相手でも、あやめ先輩や川原先輩やひかりがいれば何とかなる……。
そんな甘い事を考えていた。
床に転がるひかり、川原先輩。膝を付くあやめ先輩を見て、僕は上穂重慶の本当の強さを思い知らされた。
「ハァァッ!!」
膝を付いていたあやめ先輩が立ち上がると同時に、右下段回し蹴りを放つ。
風の様に鋭い蹴り。僕には辛うじて見える程の速さだった。
でも、
「フッ」
上穂は左腕を降り下ろし、左下段受けで防いでしまう。
それでもその蹴りは防がれると分かっていたのか、あやめ先輩は軸足を跳ね上げて身体を床と水平にすると同時に身体を回転させ、上穂の側頭部を狙って左踵の蹴りを放った。
これは当たるッ!
僕はそう確信した鮮やかなあやめ先輩の蹴りだったけど、上穂は慌てる事無く冷静にその蹴りも右掌で受け止めてしまった。
「甘いな」
そう言うと同時に、空中で無防備なあやめ先輩の側頭部をお返しとばかりに上穂が右足で蹴り飛ばした。
「グゥッ!」
あやめ先輩のガードも辛うじて間に合ったけど、爆発したかの様な蹴りの威力に押されて吹っ飛び、壁に背中から叩き付けられてしまった。
「ガハッ……」
肺を傷付けたのか、あやめ先輩が喀血する。
つ…強い……強過ぎる。
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