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「しばらくは起き上がれない程度のダメージを与えたと思ったが……どうやら細胞を活性化させてダメージを回復出来る体質の様だな」
特に驚いた様子を見せず、上穂はあやめ先輩の『超速回復』をそう分析した。
「その才能……ここで散らすのは惜しいな。どうだ? 俺の部下にならない……」
「お断りします」
上穂の勧誘を、あやめ先輩は被せ気味に断った。
「…………まあ聞け。このまま武極めた俺を相手にしても勝ち目は無い。俺と一緒に世界を……」
「お断りします」
先程と同じ様に被せ、同じテンポで、断固とした拒絶。それはあやめ先輩の明確な意思表示だった。
「お前達も同じか?」
上穂は床に倒れているひかりや川原先輩に目を向けた。
「……バレてたか」
気を失っていると思っていたひかりが、「ヨッ」という軽い掛け声と同時に勢い良く立ち上がった。
「世界征服を企む悪の秘密結社に所属するジョシコーセーなんて可愛くないから、あたしもパース」
制服のホコリを叩きながら、ひかりはニッと唇の端を上げて笑みを浮かべた。
「お前も同じ答えか?」
上穂は残った川原先輩に鋭い目を向けた。
『超速回復』で回復したあやめ先輩や、効いた振りをした上穂の隙を伺っていたひかりと違い、川原先輩には確実なダメージが残っていた。
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