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「貴様が武を極めた?」
川原先輩の足はふらついている。
「……違うッ!」
それでも、川原先輩は真っ直ぐに背筋を伸ばした。
「私が目指す武の極みとは、断じて貴様の様な存在ではないッ!!」
川原先輩の瞳には、他の二人と遜色ない力強い光が宿っていた。
一瞬、川原先輩とあやめ先輩の視線が交錯して、二人が笑い合った気がした。
そんな三人を前に、上穂の全身から仄暗いオーラが発せられた。
「では……四人纏めて死ね」
どうやら、上穂を怒らせてしまったみたいだった。
※※※
「武を志す人に感謝を込めて……」
「人を捨ててこそ……」
あやめ先輩が胸の前で手を合わせ、ひかりがゆっくりと前屈みになる。
「参りますッ!」
「浮かぶ瀬も……あれッ!」
二人が同時に、上穂に襲い掛かった。
あやめ先輩は身体から僅かに放電しながらの移動。雷とほぼ同じ速度で動く『雷動』を使っている。
ひかりも人間の限界を超えた速度で上穂をぶん殴った。正確には、上穂のガードの上から強引にぶん殴ったんだ。
「ガッ!?」
想像以上の威力に上穂のガードが緩んだ瞬間、数十……数百発のあやめ先輩の左右の突きが上穂の全身を襲った。
まぁ、正確に見えた訳ではないけど……。
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