序章

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「お腹減ったー!」 各自の家まで後5分といった辺りで、悠真がつぶやいた。 「もうすぐ着くじゃん、我慢しなよ」 と香代子。 でも確かに、お腹すいたなあ。 新幹線の中でお菓子を食べたきりだ。 時刻はもう18時をまわっている。 「俺も腹減ったわ」 と健二。 「あ、じゃあさ、あそこよってこうよ!」 良いことを思い出して、私は提案した。 「麦のバイト先!」 「お!いいねぇ」 とお腹をすかした悠真は乗り気だ。 「いいねえ、麦君いるかな」 香代子が、それならというように言った。 「よし、決まりね」 健二が突き当たりの道を右に曲がった。 麦というのは、私達の後輩で近くのファミレスでバイトをしている。 「あ、でもよく考えたら」 ウィンカーをつけて、ファミレスに入るところで健二が言った。 「考えてみたら、あいつもうここでバイトしてるわけなくね?」 そうだ。もうあれから5年またつのだ。 後輩とはいえ、一個下だから未だにあさこでバイトしてるとは考えづらい。 ってゆーかバイトしてたら問題な気がする。
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