序章

11/15
前へ
/15ページ
次へ
「ま、いいか」 駐車場に車を停めて、私達はおりた。 黄色と緑の看板が懐かしい。 小さな田舎町に、唯一ある小さなファミレス。 麦に会いによくきたなあ。 「行こうぜ」 と悠真が階段をかけあがる。 「いらっしゃいませ」 と店員さん。 「四名様ですか?お煙草はお吸いになりますか?」 先頭にいた悠真が、真っ先に私を見た。 「えっと…………」 言葉につまった私におかまいなく 「喫煙で!」 と香代子が言った。 「では、こちらへどうぞ」 店員さんが奥の席に案内する。 みんなが席につき、私はグラスをとりにすぐ立ち上がった。 ドリンクバー付きなのが、このファミレスのいいところだ。 「何がいい?」 「俺コーラ!」 「お!瑛梨菜にしては、気がきくじゃん。じゃあ、ジンジャーエール」 「私珈琲で」 はいはい。と私はドリンクをとりに向かった。 私にしては、気がきく………ねえ? 私はにやにやしながら、コップにジンジャーエールを注いだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加