序章

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「お待たせしました」 席に戻り、ひとつひとつグラスをおいていく。 「えっと、当店特製のコーラとジンジャーエールと珈琲になります。」 「お、サンキュー!」 悠真がなんの疑いもなく、ジンジャーエールを手にとった。 私はあえて席につかず、それを眺めた。 「瑛梨菜、座らないの?」 香代子が言いながら、珈琲に手をのばした。 他の2人も、ほぼ同時にグラスを口に運んだ。 まず叫んだのは、香代子だ。 「なにこれ、甘っ!」 香代子の珈琲には、大量のガムシロップをいれたのだ。ざっと、5つ。 「ちょっと!私がブラック派なの―――」 香代子の声をかきけすように、2人が叫んだ。 「うえー!」 私は、その姿を見てお腹をかかえて笑ってしまった。 「何いれたんだよ!」 とむせながら悠真言う。 「えっと悠真のは、ジンジャーエールとレモンをたくさん。で、健二のは―――」 いいかけて、みんなが私の後ろに目をやっているのに気付いた。 「何やってんすか」 聞き覚えのある声と共に私は振り返った。 ―――麦が、そこにいた。
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