序章

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「瑛梨菜さん!瑛梨奈さんっ?」 後輩の佐々木の声で目が覚めた。どうやら仕事中に居眠りしてしまったらしい。 「大丈夫ですか?居眠りするなんて珍しいですね」 佐々木が心配そうに言う。 「最近、残業続きじゃないですか。あんまり根つめると体によくないですよ」 「大丈夫だよ。それより、何か用があったんじゃないの?」 「あ、そうそう。来週飲み会があるんですけど、瑛梨菜さんきませんか?」 私はため息をついた。 「だから、私はそういうの行かないって何度も―――」 私の言葉を遮って、佐々木が言う。 「だって、瑛梨菜さん、最近元気ないし。たまにはハメを外すのも必要ですよっ!」 入社してから、何度も飲み会に誘われた事はあるけれど、私はいつも断っていた。そしたら、いつの間にか誘う人もいなくなって。 何となく、私に近づく人はいなくなった。 去年入社した、佐々木だけはいつもこうして私に話し掛けてくれる。 それが嬉しい反面、私には苦しくもあった。
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