序章

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「それで佐々木君の事ふったの?もったいなーい!」 香代子が声をはりあげて言う。 「だって、仕方ないじゃん?」 「昔の瑛梨菜だったら、考えられないよ」 香代子は、小学校からの私の親友だ。 最近は、お互い仕事で忙しくて会えていなかったのだけれど。 「そりゃーもう社会人ですから」 私が笑って言うと 「うっわ、瑛梨菜の口からそんな言葉がでるなんて気持ち悪っ!」 と後ろから声がした。 「悠真!遅いよー、久しぶりじゃん」 相変わらず背が高くひょろひょろとしているが、眼鏡をかけているせいか、少し大人っぽく見える。 無理もないか。もうみんな26歳だ。 「つーか、瑛梨菜また痩せた?つーか背伸びた?」 「私も思った!」 「痩せてないし、のびてないわ!多分」 私は自分の足元を指差して 「香代子こそ、縮んだんじゃない?」 と言って笑った。 身長170センチの私と、150センチの香代子は並んでいると母と子供みたいだ。 「つーか、悠真と瑛梨菜の間にいたくないんですけど!」 180センチの悠真と私の間に挟まれて歩く香代子はまるで……… 「捕われた宇宙人!」 「うるさいわ!ほら、新幹線くるよっ」 スタスタと先を歩く香代子を追い掛けるようにして、私達は新幹線の列に並んだ。
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