序章

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「ねえねえ、健二って今何をしてるの?」 香代子が、私も気になっていた質問をくりだした。 辛い、辛いと言っていた仕事を続けているのだろうか? 「前と変わらず仕事してるよ」 「そうなんだ」 健二の答えに何か納得がいかない、というような顔をしている香代子を横目に悠真が言った。 「こいつ、今社長だから」 「「ええーっ!」」 香代子と同時に私も叫んだ。 し、社長?健二が? 「ま、まあ小さい会社だし従業員もたいしていないんだけどね」 健二が少し照れて言う。 「あ、たがらひげか」 なるほど、と香代子も横で頷く。 「そうそう、ちょっと偉そうに見えるでしょ?」 健二が笑いながら言う。 「うーん、そうだな後は太れば完璧かも!」 「あ、なんかそのイメージはわかる!」 「俺、これ以上太りたくないなあ」 健二が自分のお腹の肉をつまんだ。 「たいして太ってるように見えないけど」 「お腹。やばいんだよね」 悠真が横からつんつんと健二の腹をつつく。 「ちょ、くすぐったい!運転の邪魔すんなよ」 健二と悠真がじゃれあっているのを放っておいて、私は外を眺めた。 地元までは後10分かからない、と言うところだろうか。 他の人も元気かな。
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