序 章 疾風迅雷/マ王降臨

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        * 「――疾れ、閃光!」  怒号と同時、暗闇に染まった空間を一筋の光が貫く。  雷撃にも似た青白いそれは、数瞬待たずに轟音を撒き散らしながら炸裂した。  遅れて烈風が通り過ぎる。  爆発により立ち込めていた黒煙はまとめて吹き飛ばされ、視界は一瞬で回復。  よく見れば、暗闇なりにも辺りの様子が見て取れる。  まずは街灯。  点灯部位は破損していて稼働しない。  次に街路。  アスファルト舗装ではなく、扇形で形成されたブロックが敷き詰められている。  そして路上に転がった車と思しき鉄塊。  恐らく、先の雷撃で爆発したのであろう。ぐしゃぐしゃにひしゃげていて、最早、原型を留めていない。  これら全てが視覚できるのは、空から差し込む微弱な月光のおかげであり、併せて大通りから漏れる人工灯の所為でもあった。  そう、此処は街のド真ん中だった。  地上四〇メートル級のビルが建ち並ぶ大都市のド真ん中だった。  そんな街の裏通り。  上空に広がる摩天楼を見上げながら、右手に青白い光を弾けさせながら、スーツの男は呟いた。 「討伐完了……と」
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