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一年A組の入り口にたどり着いた。ドアは閉まっている。今は何時だろう。まだ授業中だよな、
「中にはどうやって入るんだ?ドアを開けられないわけだろ?」
率直にマギに聞いた。
マギはため息をついて
「あなたはいま幽霊ですよ?通り抜けられます」
言われてみると随分当たり前のことだった。決してバカではない。きっとそうだ…多分。
というわけで教室にすり抜けて入っていく。
数学の時間らしい。
数学教師が解説をやめ、練習問題を誰かに当てて、解かせようとしているところだった。
1人の女の子と2人の男の子が当てられた。
男子2人はさっさと前に出てスラスラと解いてしまって、自分の席へと戻っていった。
問題は解の公式を使えるかどうかの簡単な問題だった。
ちなみに俺はこのへんまでは授業の内容についていけた。
恩師の数学教師が丁寧に教えてくれたのが、そのへんの範囲までだったからだ。そのあとからは年寄りに代わってさっぱりだった。
女の子はまだ黒板の前で硬直している。
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