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立ち入り禁止の社の屋上でひとりため息をついた
…どうしょうかな
もう死んじゃいたいな…
つぶやいてみた
3年越しの和樹とは穏やかにやってきた
3ヶ月前に派遣社員で転属してきたアシスタントと結婚すると別れを切り出してくるなんて…まさに晴天の霹靂…
自然と涙がこぼれてくる
『お姉さん…死んじゃいたいくらいつらいの?』
後ろから急に声をかけられ美帆は慌てて涙を拭った
振り返ると
少女が微笑んでいた
…お嬢ちゃんどうしたの?パパかママのとこに会いにきたの?迷子になったの?
『お姉さん…死んじゃいたいの?つらいの?』
少女は続けた
…お姉さんねちょっと辛かったの(笑)
でも 大丈夫ょ…
『お姉さん…ちょっとしゃがんで』
美帆は少女の前にしゃがんでにっこり微笑みかけてみた
少女は美帆の額に小さな手のひらをそっとあてた
す~っと暖かいものが躰に入りこんでくる
心地よい……
申し訳なさそうに別れを切り出してした和樹の顔…
ぼやけてくる……
何秒?何分?
短い時間だったのが長くも感じる
『お姉さん…もう大丈夫』
少女は額から手を離した
『お嬢ちゃん ありがとう元気が出たわ 』
ゆっくり目を開けると
少女はいなかった
……え?幽霊!まさか昼間に…きっと天使だったのかな?……
さっきまでの重苦しい胸のつかえが消えている……
よし!デスクに戻ろう…
重苦しい霧が晴れたようだった
……また がんばれそう
今のは夢だったのかしら?……
ドスン
鈍く重い音がアスファルトに響いた……
美帆は笑顔だった
『お姉さん…良かったね もうつらくないね…』
少女は屋上から
花びらが散ったようになった美帆を見つめてニッコリ微笑んだ
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