遭 遇

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俺がこの高校に入学してからもう1年だ。 学校へ急ぐ自転車を漕ぎながら思う。 そして、今日からは2年生・・・去年は色んなことがあった。まざまざと蘇る記憶―――クラスメイトの通り魔殺人―――悲しくは無かった。別に、そんなに仲が良かったわけではないからな。 ただ、救ってやりたかった。助けてやりたかった。 そう思いながら、学校に続く緩やかに長い坂道を自転車で上り切った。 そしてその日以来、俺は常に自動拳銃を持ち歩いている。 『自己防衛法』―――今から10年前に成立したこの法律によって、日本国民にも必要最低限の武器の携帯は許可された。だが、それは逆に銃器犯罪を増やしてしまった原因にもなり、次いで5年前には『小中高等学校防衛法』も施行され、小中学校では先生が、防衛組織をつくり、高校では金がある学校にはそういった組織はあるらしい。 俺が通っている高校―――南高校にはそういう組織があるという噂は聞いたことがある。 でも、そんな存在があやふやな集団を信じていてもいけないし、何より自分の身は自分で守らなきゃな・・・ と、考えつつ俺は駐輪場に自転車を停めて入学式のために中身がほとんど無いのバックを肩にかけて昇降口へと歩き出した。
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